不動産投資事業とは?その仕事内容と取得しておきたい資格を紹介
不動産投資には、利益とリスクがほぼ均衡しているという特徴があります。不動産という堅実性の高い資産を保有できるのが、不動産投資を安定させている大きな理由です。
とはいえ、個人で不動産投資を始めることに不安を感じる人も少なくありません。そんな方に不動産投資のアドバイスを行うのが不動産投資事業です。
この記事では、不動産投資の概要と不動産投資事業の仕事内容、仕事に役立つ資格などをご紹介します。
不動産投資の基礎知識
不動産投資とは、マンションなどの不動産を活用して利益を得る投資のことです。
投資の方法や規模もさまざまで、個人でマンションを1部屋購入して運用することもあれば、法人がマンションを1棟丸ごと買い上げて運用することもあります。また、法人が所有する不動産に投資する方法もあります。
利益を得る方法も1つではありません。購入した不動産を他人に賃貸して家賃を得る方法や売却によって一度にまとまった金額を得る方法などが一般的です。法人が所有する不動産に投資する場合は、その賃料や売却益から利益を得ます。
不動産投資で利益を得る3つの仕組み
不動産投資で利益を得るには、インカムゲイン、キャピタルゲイン、REIT(リート)といった主に3つの方法があります。
インカムゲイン
インカムゲインとは、購入したマンションなどの不動産を他人に貸して家賃収入を得る方法のことです。個人投資家が不動産投資で利益を狙う場合、インカムゲインが最も現実的な方法と言えます。毎月決まった額の収入を安定的に得られるため、会社員などが副業で始めるにも最適な方法だからです。
ただし、本業を持つ会社員が賃貸物件の管理を行うのは簡単なことではありません。そのため、不動産管理会社などに管理を依頼するケースが多くなっています。
その場合、ローンに加えて管理費やサブリース料などの支払いが発生するため、得られる利益は減ることになります。また、物件の立地によっては入居者が現れない可能性があるため、物件選びには慎重さが求められます。
キャピタルゲイン
キャピタルゲインとは、購入した不動産の価格が購入額を上回った時点で売却し、その差額によって利益を得る方法です。
不動産価格の上昇幅によっては大きな利益を得られる可能性がある方法ですが、そのような物件を購入するのは簡単ではありません。不動産に関する知識だけでなく、経済情勢や不動産市場に関する最新の情報にアンテナを張り続けている必要があります。
また、購入した不動産に傷みが生じると価値が下落することがあるため、管理にもある程度のコストが必要です。いずれにしても、不動産価格を予測することは難しく、大きく上昇する可能性も高くありません。そのため、キャピタルゲインを狙って不動産投資を行う場合は、何より専門家のアドバイスを受けることが大切になります
REIT
REITとは、「Real Estate Investment Trust」の略語で投資信託の商品の1つです。投資家から集めた資金で複数の不動産を購入し、インカムゲインやキャピタルゲインで得た利益を分配するのがREITの仕組みです。
日本ではJ?REITと呼ばれる不動産投資法人がREITを販売しています。個人投資家はJ-REITが発行した証券を証券会社などを通じて購入することで、マンションや商業ビルなどの不動産に投資することができます。
個人では購入が難しい規模の不動産に投資できるのがREITの特徴で、またREITは少額からの投資が可能で不動産管理のコストも発生しません。そのため、自分で不動産を購入するだけの資金がない人でも不動産投資を行うことができます。
不動産投資事業の仕事内容とは
不動産投資事業の主な役割は、不動産投資を考えている投資家に対して適切なアドバイスを行うことです。投資家の資金力や不動産投資に関する経験や知識などを聞き取り、その投資家に適したスタイルを提案します。
どのような不動産に投資するのが適切なのかといったことはもちろん、物件選びに関する具体的なアドバイスなども行います。そのために必要な物件調査も不動産投資事業の重要な仕事の1つです。
物件調査とは
物件調査とは、投資対象になりそうな不動産を徹底的に調査して価格査定やリスク評価などを行うことです。また、不動産投資事業の中には、REITの販売や投資家が所有している不動産の管理を請け負っている会社もあります。
不動産投資事業に役立つ資格4選
不動産投資事業は専門性の高い仕事であるため、不動産に関する知識や経験だけでなく各種資格を取得しておくと有利です。不動産投資事業に有利な資格は次の4つです。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は通称「宅建士」。こっちの方が通りは良いかもしれませんね。宅建士は、宅地や建物の取引には欠かせない国家資格です。この資格の保有者がいなければ、宅地・建物の取引を行うことができません。
宅地建物取引士の主な役割は専門知識の乏しい顧客を不当な契約から守るために、契約前に重要な事項をわかりやすく説明することです。
不動産投資における宅建士の役割
不動産投資事業にとっても必須の資格で、保有者には数千?数万円の資格手当が期待できます。宅地建物取引士に受験資格はなく、試験では宅建業法や民法などに関する問題が出題されます。
マンション管理士
マンション管理士は、マンション管理に関する相談やアドバイスを行うために必要な国家資格です。主な役割は管理組合や住民に対して、管理組合の運営や建物の技術的な問題に関する相談やアドバイスを行うことです。不動産投資事業ではマンションの管理を行うこともあるため、この資格の保有者は重宝される傾向にあります。マンション管理士は誰でも受験可能で、マンションの管理に関する法律や建物の構造などに関する問題が出題されます。
賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理に必要な資格です。国家資格ではありませんが、賃貸住宅の管理に必要とされる知識を身に付けることができます。賃貸住宅を管理している業者には、国土交通省への任意の登録制度があります。登録することで業者としての信用度が高まるため、登録を行っている管理業者は少なくありません。この登録の際に必要な重要事項の説明や契約書への記名押印に賃貸不動産経営管理士の資格が必要となります。そのため、不動産投資事業でも賃貸不動産経営管理士は必要とされていて、資格を取得することで会社内での評価の向上につながります。賃貸不動産経営管理士の試験に受験資格はありません。試験では、賃貸管理に関する法律や建物・設備に関する理解といったさまざまな知識が問われます。
ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランニング技能士は、厚生労働省が認定する国家検定試験に合格すると取得できる資格です。お金に関する専門家であるファイナンシャル・プランニング技能士の需要は不動産投資事業でも高く、必ず取得しておきたい資格の1つでもあります。ファイナンシャル・プランニング技能士は知識によって3級・2級・1級に区分されていて、最上位の1級に到達するには3級から始めて1つずつクリアしていくことが必要です。それぞれ学科と実技の試験があり、科目は投資・不動産・税金・保険・年金といったお金に関する事項のほぼすべてを網羅しています。なお、ファイナンシャル・プランニング技能士試験は、日本FP協会と金融財政事情研究会の2団体が実施しています。学科の問題は同じですが、実技は両団体がそれぞれ独自の問題を出題しています。
不動産投資事業では資格の取得が有利
不動産投資事業と聞くと「投資に関する知識さえあればいい」と考える人もいるかもしれません。もちろん、投資に関する知識は必須ですが、それだけでは十分とは言えません。投資以外にも、物件の管理や調査に関する知識や能力も必要です。また、知識を裏付けるための資格の取得も有効です。資格の取得によって顧客の信頼度が高まり、仕事の幅が広がることで給与のアップも期待できますから取得して損はないでしょう。